開発事業部のマネージャーが語る、外国人社員と一緒に働く環境
こんにちは、ITベースサポート部 R&D(以下R&D)の雨森です。
今回はR&Dの外国人エンジニアたちと働く私が、外国人と日本人が働く環境についてお話ししたいと思います。
R&Dでは、主にWEBのシステム開発業務を行っているため、所属している社員のほとんどがエンジニアです。そして約2分の1が外国人社員なのです。
最初から外国人が在籍していたわけではありません。R&Dは設立当初、日本人だけで構成された組織でした。
2013年から外国人社員を新卒採用するようになり、あっという間に半分以上が外国人の組織となりました。
外国人社員を受け入れるにあたり
今まで日本人による日本語だけのコミュニケーションで業務をしてきた私たちR&D。
そこに他の言語が入ることで、多くのコミュニケーションエラーを引き起こすことは簡単に想定できました。
そこで、入社した外国人社員に対して「社内ではどんな時も日本語を使う」という厳しいルールを定めました。
全ての業務で日本語を徹底させ、外国人同士の会話も日本語で行い、その会話を日本人社員が聞いて、内容に間違いがある時は直ぐに正すようにしたのです。
また、日本人社員が話をする時は、できるだけシンプルな単語を選び、相手が理解したのか確認をとりながら話を進めていきました。
日本人社員と外国人社員、どちらにとっても負担が大きかったと思います。
だけど結果的に、早い段階で業務を理解してもらうことができました。
仕事の中で日本語を徹底的に使うことで、日本の商習慣や言葉の持つ微妙なニュアンスを識別する能力が高められたと思っています。
しかし、まだまだ多くの課題がありました。
その時、外国人社員が考えていたこと
外国人社員は業務についていくために必死になって日本語を勉強してくれました。ただし限界もあります。
分からないことがあったとしても、そこでいちいち会話を中断すると先輩たちに申し訳ないと思ってしまい、理解できたか聞かれても「大丈夫です」と答えてしまう社員が続出しました。
今では解消していますが、2014年の外国人新卒メンバー一期生たちが入社した当時は、「雨森次長が忙しそうだから」という遠慮が見られたのです。
お互いの理解が不十分のまま進むと・・・
現在では変に遠慮せずに仕事の話ができるようになりましたが、理解が不十分なままプロジェクトが進んでしまう、ということが何度かありました。
この状況が続くと、当然プロジェクトは破綻してしまいます。
これは言語の問題でなくても、チームメンバーが自分たちの仕事をしっかりと把握していなければ起きてしまうことです。
ただし、これは私たち日本人側にも問題がありました。
日本人特有のアレ
外国人社員に「伝わらない」のではなく、私たち日本人社員が「伝えていない」ということに気付いたのです。
「空気を読む」「行間を読む」「遠まわしに言う」などなど、言葉少ない意思疎通が日本には多くありますが、これらは開発の仕事においてはNGであると断言できます。
このようなことは常日頃から意識していたのに、それでもなお、私たち自身では気づかない、外国人社員にとってハッキリしない表現でモノを伝えていたのです。
それでいて私達は「普通に考えればこうするでしょ」「前に同じ仕事をしたんだから、同じようにやってよ」と手戻りを繰り返していました。
つまり、重要なのは「完了の定義」を明確にすること。
成果物ができあがってきてから、「このデザインだと使いづらいね」「画面の数を減らせないの?」「処理速度が遅い気がする」「マニュアルも作ってよ」などと追加で要求するのではなく、満たさなくてはいけない要求は確実に伝えて「完了」を定義するようにしました。
これもまた開発現場では必須なことで、何をどこまでやれば「完了」なのか、そして「なぜ」やるのか、そこまでしっかりと伝えることが、私たち日本人には必要なのです。
外国人エンジニアの採用を考えている企業様へ
日本語ルールを徹底して、それが定着するまでには時間がかかりました。しかしそれは受け入れ側である我々R&Dが未熟だったからだと思います。
「完了の定義」をはじめとして、ドキュメンテーション、テスト、レビューなど、開発業務がもっと体系的にできていれば、日本語ルールにしなくても早く定着させることは可能です。
業務フローを確立させ、役割を明確にした上で、質の高いコミュニケーションをしていくことは、社員が日本人でも外国人でも組織にとって必要だと思います。
そしてもう一つ気づいたことがあります。
外国人社員の採用を始めてから、外国人の勤勉さやハングリー精神は周りにも良い刺激を与えてくれているのです。
自分の国を出て日本で働くというそのチャレンジと想いの強さが仕事に表れていて、日本人エンジニアの学びにつながっていると感じます。
このようなことから、今後も積極的に外国人社員の採用を続けていきたいと思っています。当時は様々な壁がありましたが、今では以前ほど採用難易度は高くなく、最初の一歩を踏み出していて良かったと思っています。
外国人採用において「始めの一歩」は大変に思うかもしれませんが、やってみれば困難ではないのです。
ルールが曖昧、指示が曖昧、締め切りが曖昧など日本人ならではの曖昧さに甘えた業務環境で仕事をしていたことに気付かされるなど、当たり前の課題を解決していけば良いだけで、結果として組織は強くなりました。
▲R&Dでは仕事以外でも社員間のコミュニケーションの時間を作り、日本人と外国人が隔たりなく接しています。
日本で働きたいと考えている外国人エンジニアの皆さんへ
日本語のコミュニケーションに追いつくことが難しくなった時、「ちょっと待ってください。理解できませんでした」と言うだけで、相手との間にある距離は縮まるはずです。
「申し訳ない」という気持ちがあると思いますが、理解していない状態で進んでしまうと、チームはもちろん、自分のためになりませんよね。
変に空気を読んで、日本人に合わせる必要はありません。恐れることなく、相手に「自分の意見」を伝えていって下さい。